この連載の記事
1. 正義から取りこぼされる人
小川 公代
――ご著書『ケアの倫理とエンパワメント』では、ロールズの「正義の原理」と「ケアの倫理」を対比させていますね。私自身は原理や法則といった普遍的なものに惹かれるところがあるのですが、「与えられた状況下で最善の選択をする」というケアの価値観もたしかに重要だと思いました。
2. 救急車を呼べない
小川 公代
――去年(2025年)刊行された『ゆっくり歩く』では、パーキンソン病になられたお母様とのさまざまなエピソードを書かれていますね。私の父もパーキンソン病なので、身につまされることや参考になるお話がたくさんありました。
3. 「死にたい」と言う人との対話
小川 公代
――精神面のケアが大切なのはわかるのですが、私自身は父のケアをしていくなかでどうしても、体の状態や病気の症状ばかりに気をとられてしまいます。さっきの話のように救急車を呼ぶのを留保することは、私にはちょっとできそうにありません。
4. 嘘のケア
小川 公代
――小説ってある意味嘘というか、フィクションじゃないですか。ボルヘスの話の劇作家にしても、ベンジャミン・バトンにしても、現実には存在しないわけですよね。でもそれが現実世界の私たちに生きる力を賦活するというのは、改めてすごいことだなって思います。
